大ケガをして、しばらく働けなくなっちゃった。収入がなくなっちゃうよ…
それは大変だね…。でも傷病手当金が支給されるから心配ないよ!
え、そうなの!ところで傷病手当金ってなに?
ケガや病気で働けなくなった時に支給される給付金だよ。詳しく解説するね。
ケガや病気で仕事ができないときに収入がなくならないか心配になりませんか?
健康保険には、ケガや病気が原因で働けなくなった場合に平均月給の約3分の2が支給される「傷病手当金」という制度があります。
万が一、働けなくなったときに不安を感じることがないように、傷病手当への理解を深めましょう。
今回は傷病手当金の支給条件や支給期間、金額などを詳しく解説します。
- 傷病手当金とは
- 傷病手当金の支給条件
- 傷病手当金の支給期間
- 傷病手当金の金額
万が一のときに備えて、しっかり学んでおこうね!
傷病手当金とは
傷病手当金とは、業務外のケガや病気で働けなくなった場合に支給される給付金です。
健康保険に加入しており、支給条件を満たしていれば誰でも受給ができます。
インフルエンザや新型コロナウイルスの感染で休んでも支給されるよ!
労災保険との違い
労災保険にも、傷病手当金と同様にケガや病気で働けなくなった場合に支給される「休業補償給付」があります。
これらの給付金の違いは、ケガや病気の原因が「業務中」か「業務外」です。業務中に起きたケガや病気は「労災保険の休業補償給付」となり、業務外でのケガや病気は「健康保険の傷病手当金」が給付されます。
誤った給付を受けないためにも、会社や病院に正しく状況を伝えるようにしましょう。
労災保険については、こちらの記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
退職しても継続して受給できる
傷病手当金は、ケガや病気で休業した状態であれば、退職後も引き続き受給ができます。ただし、一度復職してしまうと受給できないので注意しましょう。
たとえば、下図のように最終日だけ出社してから退職すると、傷病手当金が退職後に受給ができなくなります。
退職挨拶のために出社をすると、退職後に受給できなくなるんだね!
傷病手当金の支給条件
傷病手当金は、ケガや病気で休めばすぐに支給されるものではありません。受給には以下の要件を満たす必要があります。
- 健康保険に加入していること
- 療養のため仕事につけないこと
- 連続する3日を含み4日以上仕事を休んだこと
- 給与の支払いがないこと
健康保険に加入していること
傷病手当金は、会社員や公務員が加入する「健康保険」に加入していなければなりません。
自営業やフリーランスなどが加入する国民健康保険には、傷病手当金がないので注意しましょう。
また、家族に扶養されている人は手当金を受給できず、健康保険に自身で加入している被保険者だけが受給できます。社会保険の扶養について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。
療養のため仕事につけないこと
傷病手当金は、ケガや病気の療養のために仕事につけないことが条件です。
仕事ができるか否かは、ケガや病気を診断した医師が判断し、傷病手当金申請書に症状や医学的な所見を直接記入します。また、交通事故など特定の原因で仕事につけない場合は、別途添付書類が必要です。
連続する3日を含み4日以上仕事を休んだこと
傷病手当金は、連続する3日を休んだ4日目に支給されます。
連続する3日間を待機期間といい、待機期間中は傷病手当金の対象となりません。
なお、待機期間は労働日ではなく、土日祝など会社の休日や有給休暇を使った場合も待機期間とみなされます。
給与の支払いがないこと
療養のため休んでいたとしても、給与の支給があれば傷病手当金は支給されません。
たとえば、病気によって有給休暇で5日間休業した場合は、給与が支払われる傷病手当が支給されません。この場合、有給休暇がなくなり、欠勤の状態になってから支給が受けられるのです。
ただし、給与が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。
民間の生命保険を受給していても、引き続き傷病手当金は受給できるよ!
傷病手当金の支給期間
傷病手当金の支給期間は、支給を開始してから通算で1年6ヶ月になるまでです。支給期間は、待機期間の3日を含まない4日目からカウントします。
支給中に職場復帰し、同じ傷病で再度休業した場合は、前の支給期間と通算されます。
有給休暇や特別休暇でずっと休んでいたら、いつからカウントされるの?
有給休暇や特別休暇を使い切って、欠勤になってからだね!
受給できなくなるタイミング
傷病手当金が受給できなくなるタイミングは以下の2つです。
- 就業可能になる
- 通算で1年6ヶ月支給される
就業可能になる
傷病手当金は「仕事ができない状態」でなければ支給されません。医師が就業可能と判断した場合は、傷病手当金の支給が停止されます。
なお、復職後に同じ傷病で再び休業した場合は、待機期間なしで支給されます。
通算で1年6ヶ月になる
傷病手当金は「通算」で1年6ヶ月を過ぎれば、期間満了により受給ができなくなります。
以前は「支給開始日」から1年6ヶ月でしたが、2022年の法改正により「通算」に変わっています。
1年6ヶ月というのは障害年金の請求に合わせています。障害年金は初診日から1年6ヵ月を経過しないと請求できませんからね。
傷病手当金の金額
傷病手当金の金額は「平均月給の3分の2」です。
正式には「標準報酬月額÷30日×3分の2×休んだ日数」で計算されますが、平均月給の3分の2と覚えておけば大丈夫です。
なお、障害厚生年金や出産手当金など、別の手当を受給している場合は傷病手当金が制限される場合があります。
傷病手当金の申請方法
傷病手当金は申請をしなければ支給されません。
傷病手当金の申請の手順は以下の通りです。
- 業務外のケガや病気で就業できないことを会社に報告する
- 会社から傷病手当金支給申請書が配布される
- 必要事項を記入する(会社が記入してくれる場合も)
- 医師に意見書を記入してもらう
- 会社が必要事項を記入する
- 会社が健保に申請する
申請時は、被保険者(本人)が会社から申請書を受け取り、医師に意見書(申請書に付随)を記入してもらわなければいけません。交通事故など特定の原因で就業できない場合は、別途添付書類が必要になります。
傷病手当金が振り込まれるのは、会社が申請をしてから約1ヶ月後が目安です。
退職後も引き続き申請する場合は、会社側の記入は必要ありません。直接健保に提出しましょう。
まとめ:業務外のケガや病気で働けなくなったら傷病手当金を申請しよう
業務外のケガや病気で長期間仕事につけなくなったら、傷病手当金の申請をしましょう。
近年では、うつ病などの精神疾患で傷病手当金を申請する方も増えています。
健康保険に加入していれば万が一働けなくなっても、しばらく収入には困りません。無理せず休んで、職場復帰を目指しましょう。
- 健康保険に加入している全員が傷病手当金を受給できる
- 国民健康保険の加入者や被扶養者は対象外
- 支給金額は平均月給の3分の2程度
これからも「日本人がお金に強くなることが日本を強くする」と信じて、ブログやYouTube・Voicy、学校の授業をがんばります。
それでは今日も素敵な一日を。
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