社会保険に扶養があるって聞いたんだけど、ぼくの奥さんも入れるのかな…。
奥さんが社会保険の加入条件に満たなかったら扶養に入れるよ!
扶養に入ると社会保険料を支払わなくていいって聞いたけど本当なの?
本当だよ!詳しく解説するね!
社会保険の扶養は、被扶養者(扶養される人)の社会保険料が免除される制度です。収入が一定以下の親族がいる場合、会社に申請することで扶養に入れる場合があります。
今回は社会保険の扶養に入れる範囲や基準、税金の扶養との違いをわかりやすく解説します。
- 社会保険の扶養とは
- 扶養の収入基準
- 税金の扶養との違い
- 扶養が外れるタイミング
扶養に入れば家計の負担が減るよ!理解を深めておこうね!
社会保険の扶養とは
「扶養」とは、経済的に自立していない親族を援助するという意味です。
社会保険の被扶養者(扶養される人)は社会保険料の支払いが免除され、経済的負担が軽減されます。社会保険の扶養に入る条件は以下のとおりです。
- 被保険者(扶養する人)が社会保険に加入していること
- 被扶養者(扶養される人)の年収が130万円未満であること
ただし、被保険者(扶養する人)が自営業やフリーランスなど、国民健康保険に加入している場合は社会保険の扶養が適用されないので注意しましょう。
扶養できる社会保険の種類
社会保険で扶養制度があるのは「健康保険」と「年金保険」の2つです。雇用保険と労災保険には扶養がありません。
また、年金保険で扶養にできるのは配偶者(第3号被保険者)のみとなります。
社会保険の扶養といわれたら、健康保険の扶養のことだと思ってくださいね!社会保険の詳細はこの記事で解説しています。
被扶養者の範囲
被扶養者は「被保険者の3親等以内の親族」であることが条件です。扶養の範囲は下図をご覧ください。
配偶者は同じ位置となり0親等としてみなされます。父母や子は1親等、祖父母と孫は2親等、曾祖父母・曾孫は3親等になります。
青色の親族は別居していても、仕送りなどを送っていれば扶養に入れます。ただし、白色の親族は同居していることが扶養の条件です。
事実婚をしている人でも扶養にできるの?
できるけど、証明書がたくさん必要になるから手続きが大変なんだよね…
扶養の収入基準
社会保険の扶養に入るためには年収が130万円未満でなければいけません。月収に換算すると、月108,333円までが目安となります。
月収を意識する理由は、年収を「月給×12ヶ月」で計算するためです。
たとえば、時給1,200円で1日8時間、週3日勤務の仕事に就いた場合、月収は115,200円(1,200円×8時間×3日×4週)となり、12ヶ月かけると年収130万円を超えてしまいます。
このように「年収見込み」が130万円以上になると扶養には入れません。1年間の総収入ではなく収入見込みで判断することを覚えておきましょう。
収入の対象となるもの
扶養の基準となる収入には、給与以外にも障害年金や遺族年金、失業保険など非課税給付も含まれます。たとえば、遺族年金を受給しながら給与が支給されている場合は、合算した額が収入額となります。
また、失業保険は「日額×30日×12ヶ月」が130万円以上であれば、失業保険受給中は扶養に入れません。
収入要件の例外
60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者(障害等級1~3級)は、180万円未満が年収の基準になります。
被扶養者が会社の社会保険に加入していると年収に関係なく扶養には入れないので注意してください。
税金の扶養との違い
扶養には「社会保険の扶養」と「税金の扶養」の2つがあり、それぞれの違いを以下にまとめました。
社会保険の扶養は「保険料が免除」されるのに対し、税金の扶養は「所得控除」される違いがあります。
税金の収入基準は社会保険と異なり、原則年収103万円以下です。下図のように、税金の扶養は1月から12月の収入(所得)で判断をします。
同じ扶養でも制度が違えば基準が異なるんだね!動画で学びたい人はこれを見てね!
扶養認定に必要な証明書
社会保険の扶養に入るためには、健康保険の申請を先にしておく必要があります。手続きの関係上、健康保険の扶養が認定されなければ年金保険も扶養に入れないためです。
健康保険の扶養に入るには、以下の収入の証明書が必要になります。
- 収入なし:非課税証明書
- 収入あり:直近の給与明細または雇用契約書
- 退職:離職票・雇用保険受給資格者証など
会社を退職後に扶養申請を行う場合は、ハローワークで離職票に「失業保険を受給しない旨の証明」をしてもらう必要があります。また、雇用保険受給資格者証は失業保険の受給が終了した証明書として使われます。
被保険者が加入している健保によって求められる証明書が異なる場合があるので、早めに会社の担当者へ確認しておきましょう。
なお、以下の図のように年収が130万円を超えていても繁忙期などで労働時間が増加し、一時的な収入増加であることを雇用主が証明した場合は、継続して扶養に入れる可能性があります。
たとえば、同僚が突然退職したために一時的な人手不足で残業が増加した場合も「一時的な収入増加」となります。突発的な事情で収入が増加し、年収が130万円を超えた場合は会社に証明書の発行をお願いしましょう。
退職後に必要な書類は、この記事で詳しく解説してるよ!
扶養が外れるタイミング
扶養から外れるタイミングには、以下の種類があります。知らない間に扶養から外れてしまうことがないように、扶養から外れてしまうタイミングを確認しておきましょう。
- 被保険者の会社で調査が入る
- 被扶養者が社会保険に加入する
- 一定の年齢になる
被保険者の会社で調査が入る
数年に1回、被保険者の会社で被扶養者の収入調査が入ることがあります。調査が入ると被扶養者の収入証明書や給与明細書などを会社に提出しなければいけません。
もし、調査で年収が130万円以上の見込みがあると判断された場合は、扶養から外れてしまいます。扶養から外れた後は国民健康保険と国民年金に加入するため、市区町村で手続きが必要になってしまいます。
被扶養者が社会保険に加入する
被扶養者が勤め先で社会保険に加入した場合は扶養から外れます。年収が130万円未満であっても社会保険に加入すれば扶養から外れるので注意しましょう。
社会保険の加入条件は以下のとおりです。
会社の従業員数 | 社会保険料の加入条件 |
従業員数が51人以上の会社 (2024年9月まで101人以上) | ・賃金が月額8.8万円以上(時間外手当などを除く) ・週の所定労働時間が20時間以上 ・2ヶ月を超える雇用見込みがある・学生ではない |
従業員数が51人未満の会社 (2024年9月まで101人未満) | ・正社員(フルタイム) ・週の所定労働時間 ・月の所定労働日数が正社員の4分の3以上 |
被保険者は、会社に被扶養者が社会保険に加入したことを伝えたうえで、社内の手続きをする必要があります。
詳しい加入条件や政府の施策については以下の記事で詳しく解説しています。
将来的には会社の従業員数に関わらず賃金が月額8.8万円以上で週20時間以上働いている人は社会保険に加入することになるよ!
一定の年齢になる
60歳になった被扶養者は年金保険の扶養から外れます。そのため、引き続き年金保険に加入したい場合は被扶養者自身で任意加入する必要があります。
一方、健康保険は被扶養者が75歳になると「後期高齢者医療制度」に移行するため、健康保険の扶養から外れます。とくに親を扶養している場合は、年齢によって扶養が外れてしまう可能性があるため注意しましょう。
被保険者が先に75歳なった場合も、加入する保険が変わるため被扶養者は扶養から外れます。この場合、被扶養者は国民健康保険に加入するのが一般的です。
まとめ:社会保険の扶養に入るなら月収を意識しよう
扶養には「社会保険」と「税金」の2種類があり、社会保険の扶養は保険料の支払いが免除されます。
社会保険の扶養に入る条件は、被扶養者の年収見込額が130万円未満であることです。年収見込額は「月収×12ヶ月」で算出しますが、遺族年金や失業給付などの非課税所得も含まれます。
扶養範囲や収入基準などの仕組みを理解して、扶養制度をしっかり活用しましょう。
- 扶養には社会保険の扶養と税金の扶養がある
- 年収は「収入見込み」
- 遺族年金や失業保険も収入に含まれる
これからも「日本人がお金に強くなることが日本を強くする」と信じて、ブログやYouTube・Voicy、学校の授業をがんばります。
それでは今日も素敵な一日を。
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