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就業規則とは?確認方法とポイントを社労士がわかりやすく解説

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5円くん

会社の住宅手当を知りたいけど何を見れば良いの…。

社労士 きた

そんなときは就業規則を見ればいいよ!

5円くん

就業規則なんて見たことも聞いたこともないや

社労士 きた

見たほうがいいよ!会社独自の休暇や手当が発見できるかもよ!

あなたは自分の会社の就業規則を見たことがありますか?

就業規則はいわば会社のルールブック。労働時間や休日、賃金など会社の従業員が関わるすべてのルールが書かれたものです。

「いい規則があったのに活用できてなかった」といった状況にならないためにも、就業規則への理解を深めていきましょう。

この記事でわかること
  • 就業規則とは何か
  • 就業規則はどこで見れるのか
  • 就業規則の見るべきポイント
  • 就業規則を見せてもらえなかったときの対処法
社労士 きた

就業規則の確認方法と見方をわかりやすく解説するね!

就業規則とは

就業規則とは会社のルールブックのことで、学校でいえば校則のようなイメージです。このルールブックを見れば「なんで夜に出勤する人がいるの?」「なんで有休がないのに休める人がいるの?」といった疑問が解決できます。

また、就業規則には以下のような会社独自に規定しているルールも細かく書かれています。

  • 家族イベントに使える「家族休暇」
  • 20時〜翌朝5時の勤務体系
  • 住宅手当等の支給金額・要件

会社は就業規則を決めることで、会社独自の働き方で労働させることができます。ただし、就業規則は法律の範囲を超える規則は記載があっても無効となります。

たとえば、法律で「1週間に1日以上休日を与えなさい」とされているところを「2週間に1回休日を与える」と就業規則に記載できないのです。

社労士 きた

ちなみに、従業員10名以上の会社は就業規則の作成義務があるけど、10人未満の会社は作成義務がないよ!

就業規則はどこで見れるの?

就業規則は法律で従業員全員が見れる状態にしなければならないと決められています。

見れる場所は会社によって異なりますが、主に以下の場所に保管されています。

  • 社内のポータルサイト
  • 共有フォルダ
  • 社内の見やすい場所
  • 冊子で配られて個人保管

就業規則の保管場所がわからなかったり、なくしてしまったりした場合は、会社の人事または総務に聞いてみましょう。

社労士 きた

就業規則を従業員に見せないのは違法なので、必ずどこかで見れるはずです!

就業規則を見せてもらえないときの対処法

なかには、従業員に就業規則を見せる義務があることを知らない人事担当者や経営者もいます。そういったときは法律上、見せる義務があることを伝えましょう。

それでも見れない場合は、労働基準監督署で確認ができます。会社とのやり取りを記録したうえで、労働基準監督署に閲覧申請を行えば確認できます。

社労士 きた

作成された就業規則は、労働基準監督署に提出して保管されてるよ!

就業規則の見るべきポイント

会社によっては就業規則が何百ページもある場合があるため、すべてを理解しておくことは容易ではありません。したがって、以下のポイントに絞って確認することをおすすめします。

  • 労働時間
  • 休日・休暇
  • 賃金規定
  • 賞与(ボーナス)
  • 退職
  • 懲戒

それぞれの具体例を挙げながら解説します。
※掲載している就業規則は架空のものです。

労働時間

労働時間には始業・終業時間や、外勤・出張時の労働時間などが書かれています。

始業・終業時間、休憩時間

始業・終業時刻には、以下のように労働する時間帯が書かれています。

始業・終業時間、休憩時間

1.始業・終業の時刻及び休憩の時間は、次のとおりとする。
 ・始業…9時00分(所定の就労場所にて業務を開始する時刻)
 ・終業…18時00分(業務を終了する時刻)
 ・休憩…12時00分から13時00分
2.前項によらず、個別の雇用契約書等により別段の定めがある場合は、これに従う。

この例では、1日の労働時間が9時〜18時、休憩が12時~13時の1時間を原則の労働時間としています。

ただし、2つ目で「個別の雇用契約書等により別段定めがある場合は、これに従う」と書かれているので、配属先によっては原則通りではないとも読み取れます。

つまり、フレックスタイム制やシフト勤務など別の働き方をする場合があるということです。

社労士 きた

就業規則を見ると細かい勤務時間や環境がわかるので、どんな勤務体系があるか確認しようね!

外勤・出張時の労働時間

外勤・出張時の労働時間を「どこから労働時間とするか」などが細かく書かれています。

出張時の労働時間

出張時の労働時間は、出張先到着時刻から出張先出発時刻までを労働時間とする。
ただし、1日の所定労働時間に満たない、又は、勤務時間を算定しがたい場合は、所定労働時間勤務したものとみなす。

この例では、出張時の労働時間が出張先の到着時間から出張先の出発時間までとされているので、移動時間は労働時間に含まないということです。

このように、労働時間に取り扱いについて「どこまでが労働時間となるのか」を確認しておくことで、労働時間を申告するときに過少申告をせずに済む場合があります。

社労士 きた

出張が多い人は必ず確認しようね!

休日・休暇

休日や休暇に会社独自のものが設けられているケースがあります。

これまで知らなかった休暇が発見できる可能性もあるので、必ず確認しましょう。

休日

就業規則では、どの日が休日に該当するか、年間に休日が何日あるかが確認できます。

休日

社員が下記の各号に該当するときは、申出により次の特別休暇を与える。
 1.法定休日
  ・日曜日
 2.法定外休日
  ・土曜日
  ・国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
  ・創立記念日(10月1日)
  ・年間休日カレンダーで定めた日
  ・その他会社が指定する日

この場合「国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)」と書かれているので、日曜日が祝日だと3連休になります。また10月1日が創立記念日で休日になることがわかります。

社労士 きた

逆に土曜日が出勤となっているケースもあるから気をつけようね!

休暇

休暇を確認する際は、有給休暇とは別の特別休暇を確認しましょう。

特別休暇

休日は次の通りとする。
 1.転勤のため住居を移転するとき
  ・移動日を含み、単身者連続2日以内
  ・移動日を含み、家族持連続3日以内
 2.結婚
  ・本人が結婚するとき 挙式(入籍)当日を含む連続7日
  ・子が結婚するとき1日

ここでは、転勤のために住居を移転するときに取得できる特別休暇や、結婚したときに使える特別休暇など、法律にはない会社独自の休暇が設けられていることがわかります。

このように独自の特別休暇を設けている会社が多くあります。

特別休暇があることを知らずに、有給休暇を使ってしまっている人もいるので、自身の会社に特別休暇がないかを就業規則で確認してみましょう。

賃金規定

賃金規定には、手当の種類や条件が書かれています。

家族手当や住宅手当など基本給以外の手当が、どんな条件でもらえるかも確認できます。

賃金

賃金体系には、会社が支給する手当の種類が記載されており、基本給以外のさまざまな手当が確認できます。

賃金体系

賃金は、次の構成とする。
 1.基本給
  ・職能給
  ・資格給
 2.家族手当
 3.通勤手当
 4.役職手当
 5.住宅手当
 6.時間外手当

また、各手当の支給条件も記載されているので、自身が該当するかを就業規則で確認してみましょう。

ここでは、家族手当を例に紹介します。

家族体系

家族手当は、生計を維持する次の扶養親族を有する者に支給する。
 1.配偶者
 2.18才未満の子
 3.18才高等学校卒業までの子
  1人目 15,000円、2人目 10,000円、3人目 5,000円

このように家族手当をもらうための条件と金額が明確に記載されています。

社労士 きた

支給される手当が気になる方は、ぜひ確認してみてください。

減額

減額の条件についても確認することをおすすめします。

欠勤等による賃金の減額

欠勤・遅刻・早退等については、当該の不就労時間の賃金を減額して支給する。

この例では欠勤・遅刻・早退をすれば、その時間分を減額すると定められています。

社労士 きた

会社によっては減額にならない場合もあるよ!

賞与(ボーナス)

賞与の就業規則で見るポイントは「退職するときにもらえるかどうか」です。

賞与の支給

賞与は毎年2回、上期賞与(6月)と下期賞与(12月)に区分し支給する。ただし、支給日に在籍していない者については支給しない。

この例では「支給日に在籍していない者については支給しない」と記載されているので、6月と12月の賞与支給日前に退職すると賞与はもらえないことがわかります。

社労士 きた

退職前には必ず確認しようね!

退職

退職の仕方や定年退職についても就業規則に書かれています。

退職を考えている方や定年が近い方は確認しておきましょう。

退職

自己都合・会社都合で退職する場合も見るべきポイントが多くあります

退職

1.社員が自己の都合により退職しようとするときは、14日以前に所属長を経て所定の退職願を提出しなければならない。
2.社宅を利用し、居住する社員が退職するときは、10日以内に退出しなければならない。

この例では、退職日の14日前に上司を通して退職願を提出しなければならないと定められています。

加えて、社宅は退職から10日以内に退去しなければならないので、退職前に引っ越しの準備が必要となります。

退職前に就業規則を確認すると、いつまでに何をすればいいのか把握ができます。円満退職できるように事前に調べておきましょう。

社労士 きた

守らなくても退職できますが、必ず確認しようね!

定年退職

定年退職する際は、定年後の待遇を確認しておきましょう。

定年退職

定年は満60歳とし、定年に達した日の属する月末をもって退職となる。ただし、次の条件をいずれも満たす者については、65歳まで継続して雇用する。
 1.シニア社員として継続して働く意欲のある者で、心身ともに健康で業務に支障がない者
 2.会社が提示する業務及び条件に合意した者

この例では60歳になった月の月末に定年退職になることがわかります。

ただし「健康で条件に合意すればシニア社員になれる」と記載されているので、定年後も働けることが読み取れます。

社労士 きた

会社によって定年退職年齢が異なるので、必ず確認しましょう!

懲戒

懲戒とは、不正・不当な行為に対して科せられる制裁のことです。会社員であれば減給や解雇などの処分が懲戒に該当します。

懲戒は限定列挙といい、就業規則で書かれていること以外の行為は処分ができない仕組みになっています。

諭旨解雇又は懲戒解雇

社員が次の各号に該当するときは、懲戒解雇に処する。ただし、情状により減給・出勤停止・諭旨解雇に止めることがある。
 1.重要な経歴を詐称して雇用されたとき
 2.正当な理由なく、無断欠勤が14日以上に及び、出勤の催促に応じなかったとき
 3.業務に関する会社の命令に従わないとき
 4.会社の機密に属する事項を洩らしたとき
 5.犯罪行為があったとき
 6.セクシュアルハラスメント行為またはパワーハラスメントまたは妊娠・出産・育児・介護等に関するハラスメント等により、相手方又は会社に重大な損害を与えたとき

このように具体的に懲戒処分される行為がかかれています。見方を変えると、どんなにひどい行為でも就業規則に書かれていなければ懲戒にはなりません。

社労士 きた

自分の会社では、どのような行為が懲戒対象となるかを確認しておきましょう。

まとめ:就業規則は会社のルールブック

就業規則は会社のルールブックです。

労働時間や休日、賃金など会社の従業員が関わるすべてのルールが記載されています。就業規則を確認すれば、今まで知らなかった休暇や手当が発見できるかもしれません。

本記事で紹介したポイントを参考に、あなたの会社の就業規則を確認してみましょう。

  • 就業規則は会社のルールブック
  • 就業規則は従業員全員が見れる
  • 特別休暇や会社独自の手当が発見できる

これからも「日本人がお金に強くなることが日本を強くする」と信じて、ブログやYouTube・Voicy、学校の授業をがんばります。

それでは今日も素敵な一日を。

最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ!

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