5円くん労働時間ってどんな時間か知ってる?
労働時間?単純に働いた時間じゃないの?
じゃあ着替えや朝礼の時間はどうなると思う?
え、わからない…
会社員やアルバイトなどをしている労働者は、労働時間に対してお金をもらっています。
そのなかで「朝礼や研修、仮眠などの時間が労働時間に含まれるのか?」と疑問を感じている人もいるでしょう。
実は労働時間には明確な定義があり、労働時間になる時間とならない時間が決められています。
今回は、労働時間に含まれるものと、含まれないものを具体例を交えながら解説します。
- そもそも労働時間とは
- 労働時間になる時間とならない時間
- 違法性がみられたときの対応
労働時間になる時間とならない時間の区別をしっかりつけようね!
労働時間・休憩時間・残業時間の違い
労働時間は原則、出退勤時間から休憩時間を除いた時間で算出されます。
賃金は、労働時間の対価として支払われ、所定労働時間を超えた分は残業手当として割増賃金が支払われます。
労働時間を知るためにも、まずは労働時間・休憩時間・残業時間の定義を見ていきましょう!
労働時間とは
労働時間の定義は「使用者(経営者や管理職など)の指揮命令下で労働者が働く時間」です。
業務時間ではなく、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれているか否かで判断されます。たとえば、上司の命令で銀行に行く時間は労働時間ですが、私用で銀行に行く時間は労働時間になりません。
なお、労働時間は雇用されている労働者のみに適用され、雇用されていないフリーランスなどには適用されません。
労働者に拘束時間があるのは時間を対価にお金をもらっているからなんだね!
フリーランスは労働時間ではなく成果報酬でお金をもらってるよ!
休憩時間とは
休憩時間とは、労働から完全に解放されている時間です。わかりやすくいえば「労働者が自由に使える時間」と表現できます。
たとえば、居酒屋でお客さんがいない手待ち時間(待機時間)は、休憩時間と認められません。お客さんがくるのを待っている状態なので、労働から解放されてるといえないためです。
また休憩時間の長さは法律で下表のように決められており、休憩なしで働くことは違法行為です。
労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超えると最低1時間の休憩が必要です。
休憩時間を1時間にしている会社が多いのは、残業をすれば労働時間が8時間を超えるためです。
ちなみに24時間働いても1時間の休憩があれば違法になりません。でも体に悪いから休憩は取ろうね。
残業時間とは
残業時間は法律で決められた「1日8時間、週40時間(法定労働時間)」を超えた労働時間です。
法定労働時間を超えて働いた場合には、残業手当として割増賃金が支払われます。
残業時間を詳しく知りたい方はこの記事をご覧ください。
労働時間になる時間・ならない時間
出勤している時間のなかには、朝礼や研修、健康診断といった直接業務に関わりがない時間もあるため、出勤時間のすべてが指揮命令下であるとは限りません。
また、どの行為が労働時間になるのかは法律で決められておらず、客観的に判断することとなります。
ここからは、過去の判例や通達を基に「労働時間になる時間とならない時間」を具体的に解説します。
労働時間になる時間
労働時間は「指揮命令下」であることが条件となるため、参加が強制されているものや、待機を指示されている場合は労働時間に含まれます。
具体例を交えながら紹介していきますね!
朝礼
出席を強制されている朝礼は、始業時間前であっても労働時間に含まれます。
上司から「朝礼は必ず出席しなさい」と義務付けられていれば、指揮命令下にあると考えられるからです。
ただし、朝礼が任意参加であれば労働時間になりません。
手待ち時間
手待ち時間とは、作業中ではないものの指示があればすぐに仕事ができるように待機している時間のことです。手待ち時間中に休憩室で休んでいたとしても、労働からの解放されていないため休憩時間になりません。
- 飲食店でお客さんがいない時間
- 貨物の積込み係が自動車の到着を待つ時間
- タクシー運転手が利用客を待つ時間
電話当番
電話当番は、完全に労働から解放されていないため労働時間になります。
昼休み中の電話当番も労働時間と見なされ、別途休憩が必要となりますが、昼休み中に偶然、電話に出ただけでは労働時間になりません。
あくまでも会社の指示で電話当番を任されたときのみ労働時間として認められます。
研修・勉強会
参加を強制されている研修や勉強会は、労働時間になります。
たとえば、始業前の勉強会に参加を強制された場合は労働時間に含まれます。ただし、任意参加の研修や勉強会は労働時間にならないので注意しましょう。
着替えの時間
着替えの時間は、社内で着替えが義務付けられているかで判断されます。
着替えが義務付けられている業種には、食品を扱ったり、衣服が汚れたりする安全衛生上の問題がある業種が該当します。ただし、自宅で制服に着替えて通勤できる場合は認められないケースもあります。
裁判でもさまざまなケースで争われており、必ずしも労働時間になるとは限りません。
仮眠時間
仮眠時間も原則、労働時間に含まれます。
たとえば、24時間勤務の警備員がとる仮眠時間は、労働時間として計算されます。なぜなら仮眠中にトラブルが発生した場合に対応しなければならないためです。
ただし「仮眠中にトラブルが起きても対応しなくてよい」など、労働から解放されていれば、労働時間にならないケースもあります。
労働時間にならない時間
労働時間にならい時間には「任意参加」や「指揮命令下に置かれていない状況」が該当します。
労働者が自由に使える時間や自主的な行動にあたるかが判断の基準です。
具体例と合わせて見ていきましょう!
出張先への移動時間
出張での移動時間は、本を読んだりゲームをしたりなど、労働から解放されている状態となるため、労働時間になりません。
たとえ深夜や休日の移動であっても、労働時間にならないため割増賃金も支払われません。
健康診断
一般の定期健康診断は、労働時間とする義務はありませんが、厚生労働省は労働時間と見なして、賃金を支払うことが望ましいとしています。
なお、有害な業務に従事している労働者に行われる「特殊健康診断」は労働時間になります。
接待
接待は指揮命令下に置かれていると考えられにくいため原則、労働時間に含まれません。
ただし、会社に宴会の準備や出席者の送迎などを命令された場合は労働時間になります。
持ち帰り残業
自らの判断で持ち帰った残業は労働時間にはなりません。
ただし、持ち帰らなければならない状況であった場合や、明らかに就業時間内に終わらない業務量を指示されていた場合は労働時間になります。
「残業時間の上限超えそうだから家でやれ」って言われたことあるよ…
それはブラック企業だね…。自分の会社がブラック企業なのかを見分けるときは、この記事を参考にしてみてね。
労働時間に違法性がみられたときの対応
ここまでの解説で「もしかして私の会社おかしいかも」と思った方もいるかもしれません。
ここからは、自社の労働時間に違法性がみられたときの対応を解説します。
社内相談
法律で決められていない労働時間の基準は勤務先によって決定されます。
そのため、労務管理をしている部署が労働時間の判断を誤っていることが稀にあります。
どうしても納得がいかない場合や、疑問がある方はインターネットで実際の判例を検索し、根拠を提示したうえで相談するとよいでしょう。
会社側も誤りに気づけば是正を行い、賃金を支払ってくれるはずです。
労働基準監督署へ相談
労働基準監督署は、会社の労働法違反を取り締まる行政機関です。
社内相談に応じてくれない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
違法性が高く、証拠があれば労働基準監督署から会社に連絡してくれますよ!
賃金未払に対する相談
認められていなかった労働時間が認められれば、支払われていなかった時間分の賃金が会社から遡って支給されます。
遡りは最高3年が限度なので、違法性に気づいた場合は早めに相談しましょう。
なお、遡りをせずに「来月から正しい賃金を支払う」とした見解は会社として賃金支払い義務を果たしていません。法律を遵守しない会社はブラック企業といえるでしょう。
まとめ:労働時間はお金に直結する
労働時間はお金に直結する大事な時間です。
会社や上司の命令で拘束された時間は基本的に労働時間に該当するので、疑問があるときは会社に根拠を聞いてみましょう。
会社の判断が誤っているときは、支払われていなかった賃金が遡って受け取れるかもしれません。
- 労働時間は指揮命令下にある時間
- 強制参加や手待ち時間は労働時間
- 違法性を感じたら相談しよう
これからも「日本人がお金に強くなることが日本を強くする」と信じて、ブログやYouTube・Voicy、学校の授業をがんばります。
それでは今日も素敵な一日を。
最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ!
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