きれいに使ってたのに退去費用が高いんだよね…
退去費用として払わなくていいものもあるから、明細をちゃんと聞いた方がいいよ!
え、払わなくていい退去費用あるの?
金額に納得がいかないときの対処法も一緒に教えるね!
賃貸から出るときに高額な請求をされたことがある人も少なくないのではないでしょうか。基本的に通常生活の範囲で発生する損傷や、入居前にできた汚れに対する修繕費用は退去時に払わなくていいとされています。
なかには、不当な費用を請求する管理会社もいるので注意が必要です。余分な出費を抑えるためにも、退去費用として払わなくていいものを知っておきましょう。
- 退去費用として払わなくていいもの
- 退去費用の金額に納得がいかないときの対処法
- 退去費用を抑えるためのポイント
賃貸住宅に住んでいる人や退去の予定がある人は参考にしてみてね!
退去費用とは?
賃貸住宅の退去費用とは、退去時に入居者(借主)が負担する原状回復のための費用です。
そもそも原状回復とは入居者の故意・過失、通常と異なる使い方をしたことで生じた傷や汚れを元に戻すことをいいます。
入居者には退去時に原状回復をする義務があるため、入居時に支払った敷金より修繕費用がかかる場合は不足分を退去費用として支払わなければなりません。
退去費用として払わなくていいもの
原状回復では、新築のような状態に戻すのではなく、入居者の故意や過失、通常と異なる使い方によって発生した傷や汚れを復旧することが求められます。
そのため、通常生活の範囲で発生する損傷や、入居前にできた損傷の修繕費用は払わなくていいものとされています。
退去費用として払わなくていいものを具体例と一緒に見ていこう!
通常生活の範囲で発生する損傷の修繕費用
国土交通省のガイドラインでは「通常の使用による消耗、汚損はその家賃によってカバーされるべき」としています。したがって、通常生活の範囲で発生する損傷の修繕費用は、退去費用として払う必要は基本的にありません。
通常の使用による消耗、汚損は、以下のようなものが該当します。
- 壁やふすま、床などの日焼け・色あせ
- 家具の設置による床やカーペットのへこみ
- テレビや冷蔵庫の後ろの壁にできた黒ずみ
- 経年劣化によるキッチンやトイレの故障 など
ただし、国土交通省のガイドラインには法的な強制力がありません。賃貸借契約書に特約があるときは、これらに該当しても払わなければならない可能性があります。
入居前にできた損傷の修繕費用
退去費用の対象となるのは、入居者が通常と異なる使い方によってできた損傷の修繕費です。したがって、入居前にできた損傷の修繕費用は退去費用として払う必要がありません。
なかには、入居前にあった床の傷の修繕費用まで請求されたケースもあります。そのような状況を避けるためには、入居時に大家や管理会社と一緒に傷や汚れがないか、設備がしっかり動作するのかなどを確認するようにしましょう。
加えて、気になる傷や汚れがあったときは、写真や動画を撮って入居前にあったことを証明できる証拠を残すのがおすすめです。
退去費用として払う必要のあるもの
退去費用として払う必要のあるものは、入居者の責任でできた損傷や、賃貸借契約の特約で定められた修繕費用です。
どんな費用が当てはまるのかを一緒に解説するね!
賃借人の責任でできた損傷の修繕費用
国土交通省のガイドラインでは、入居者の故意・過失、善管注意義務違反、通常生活の範囲を超えた使い方による損耗の補修・修繕費は入居者の負担としています。
善管注意義務違反とは、清掃や手入れなどをまったくしないといった、一般的にはしなくてはならない注意義務を怠ることです。
例えば、日々の手入れを怠ったことが原因となるお風呂のカビは、善管注意義務違反に該当するのが一般的です。そのため、その清掃費用は入居者が負担するケースが多い傾向があります。
善管注意義務違反に該当するものを含めて、入居者の責任でできた損傷や汚れとされるものは以下の通りです。
- 風呂やトイレのカビや水あか
- 引っ越し作業などで付いた傷
- ペットによる壁や柱の傷
- たばこの臭い
- 台所や換気扇の油汚れ、すす
- 子どもの落書き など
これらの修繕費用は、必ずしも全額負担しなければならないわけではありません。
経過年数や耐用年数を考慮したうえで、大家が負担する割合を差し引き、入居者が払うべき費用が出されます。一般的には経過年数が長いほど、賃借人の負担割合が小さくなるように設定されています。
賃貸借契約の特約で定められている費用
国土交通省のガイドラインで入居者が退去費用を負担する義務がないとされていても、賃貸契約の特約内容によっては入居者負担となる場合があります。
例えば、以下の費用を入居者負担としている特約が多い傾向があります。
- 鍵の交換費用
- ハウスクリーニング費用
- エアコンクリーニング費用
これらの費用が特約に定められている場合は、基本的に退去費用として支払うことになります。そのため、入居者が負担する退去費用が何か知りたいときは、国土交通省のガイドラインだけでなく賃貸借契約の内容もチェックするようにしましょう。
退去費用に納得がいかないときの対処法
退去費用に納得がいかないときは、以下のような対処法が効果的です。
- 賃貸側に交渉する
- 消費生活センターに相談する
- 少額訴訟や民事調停制度を利用する
賃貸側に交渉する
退去費用の金額に納得がいかないときは、大家や管理会社に交渉してみるのがおすすめです。交渉をする際は、国土交通省のガイドラインを確認しておくとスムーズに進みやすくなります。
ただし、賃貸借契約書に退去費用の特約があるときは、ガイドラインに定められている範囲を超えた修繕費用の支払いを求められることがあります。
そのため、大家や管理会社に交渉する前に、国土交通省のガイドラインや賃貸借契約書を確認しておくようにしましょう。
また、最初から「高すぎる」といった態度で交渉を始めるとトラブルに発展する可能性があるので、感情的にならずに「退去費用の内訳を詳しく教えてもらえますか?」と尋ねてみるのがおすすめです。
消費生活センターに相談する
退去費用の説明を求めたり交渉をしたりしても、誠実に対応してもらえないときは、消費生活センターに相談してみましょう。消費生活センターでは、退去費用に関する相談も受け付けているので、無料でアドバイスを受けられます。
家主や管理会社との交渉をあっせんしたり、適切な窓口に紹介したりしてくれるので、自分にとって適切な解決方法がわからないときに相談してみるのがおすすめです。
土日祝日といった消費生活センターが開所していないときは、消費者ホットライン(188)を利用するのも手段の一つです。
少額訴訟や民事調停制度を利用する
少額訴訟とは、民事訴訟のうち60万円以下の金銭の支払いをめぐるトラブルを少ない費用で、迅速に解決することを目的とした制度です。退去費用に関するトラブルでは、入居者が大家や管理会社に60万円以下の敷金の返金を求めるときに利用することが多いです。
一方、民事調停制度とは、当事者同士が話し合いで問題解決を図る裁判所の手続きのことをいいます。裁判所の「調停委員会」が当事者双方の言い分を聞いて歩み寄りを促し、当事者同士の合意によってトラブルの解決を図ります。
これらの制度は、訴訟よりも手続きが簡易で、解決までの時間が比較的短くて済むのが特長です。
賃貸側との交渉がうまくいかなかったり、消費生活センターに相談して解決に至らなかったりしたときは、少額訴訟や民事調停制度の利用を検討しましょう。
退去費用を払わないとどうなる?
期日までに退去費用を払わないと、管理会社から支払い催促の連絡がきます。催促の連絡を無視すると連帯保証人に連絡されたり、民事裁判を起こされたりします。
そのため、退去費用に納得がいかなくても連絡をせずに支払いを免れようとしてはなりません。
退去費用に納得がいかないときは交渉したり、消費生活センターに相談したりしよう!
退去費用を抑えるためのポイント
退去費用を抑えるためには、以下の4つのポイントを押さえることが大切です。
- 入居前に傷や汚れの現状を把握する
- 賃貸借契約書の特約内容をしっかり確認する
- 部屋の掃除や管理をしっかりする
- 退去時の立ち会いに同席する
入居前に傷や汚れの現状を把握する
入居前にできた傷や汚れの修繕費用は、退去費用として支払う必要がありません。なかには、入居前からあった傷や汚れの修繕費用を請求された事例もあります。
そのような状況にならないためにも、傷や汚れが入居前からのものであることを証明できるように、入居時の状態を記録しておくことが大切です。
気になる箇所があるときは大家や管理会社に伝えるだけでなく、写真を撮っておきましょう。
賃貸借契約書の特約内容をしっかり確認する
国土交通省のガイドラインで負担しなくてもいいとされている退去費用であっても、特約によって支払うように定められている場合があります。
ただ、特約に記載されているからといって必ずしも払わなければならないわけではありません。入居者に不利な特約は、入居者が合意してなければ有効にならないとされています。
契約時は契約内容をしっかり確認したうえで、疑問点や不明点があるときは管理会社に問い合わせておくことが大切です。不当な特約によって高額な退去費用を請求されたときは消費生活センターに相談することも視野に入れましょう。
部屋の掃除や管理をしっかりする
賃貸物件の清掃や手入れなどをしなかったことが原因で生じた損傷や汚れの修繕費用は、退去費用として支払う必要があります。そのような状況を避けるためにも、定期的に部屋の掃除や換気をしてきれいな状態を保つようにしましょう。
加えて、入居中に雨漏りや水漏れなどのトラブルが発生したときに、可能な限り早く大家や管理会社に連絡することも大切です。トラブルを放置していると適切な管理をしていないと判断されて、退去費用がかさむ原因になるので注意しましょう。
退去時の立ち会いに同席する
退去時は管理会社や大家と一緒に部屋の状況を確認しましょう。確認内容のメモを残したり、修繕を求められた箇所の写真を撮ったりして、証拠を集めておくのがポイントです。
退去費用の交渉で納得がいかない箇所があったときに、記録しておいた証拠を提示することができれば、交渉がスムーズに進みやすくなるでしょう。
まとめ:退去費用のトラブルを避けるためにもガイドラインを確認しておこう
国土交通省のガイドラインでは、通常生活の範囲で発生する損傷や、入居前にできた損傷の修繕費用は払わなくていいものとされています。ただし、入居者の責任でできた損傷や賃貸借契約書の特約で定められている修繕費用は、退去費用として支払わなければならないケースがあります。
不当な退去費用を請求されないためにも、国土交通省のガイドラインや賃貸借契約書の特約内容を確認しておきましょう。加えて、入居前の状況を写真に撮っておくのも効果的な手段です。
請求金額に納得がいかないときは、大家や管理会社に交渉したり、消費生活センターに相談したりしてみましょう。
- 経年劣化に対する修繕費用は原則として支払わなくてもいい
- 賃貸借契約書の特約で定められている費用は基本的に支払う必要がある
- 退去費用に納得がいかないときは説明を求めたり交渉したりする
これからも「日本人がお金に強くなることが日本を強くする」と信じて、ブログやYouTube・Voicy、学校の授業をがんばります。
それでは今日も素敵な一日を。
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