内定した会社から雇用契約書を渡されたけど、よくわからない。とりあえずハンコ押しとこ!
ちょっと待って!!労働時間や賃金に納得してる?
そう言われると怖くなってきた…。どこを見ればいいの?
会社で働くことも契約だからね!ちゃんと見なきゃダメだよ!
雇用契約書は労働者が会社から提示された条件で働くことに合意した証拠となる書類です。雇用契約書の内容を確認せずに契約を結ぶことは、値段を見ずに買い物をするようなものです。
この記事では、雇用契約書の見方や確認ポイントをわかりやすく解説します。
- 雇用契約書とは何か
- 雇用契約書で必ず確認するべきこと
- 雇用契約書がない場合の対応
就職や転職で必ず役に立つので、ぜひご覧ください!
雇用契約書とは
雇用契約とは、労働者が提示された仕事内容や労働時間で働き、雇用主がその労力に対して賃金を支払う契約のことをいいます。
雇用契約書は雇用契約にあたって労働者と雇用主との間で労働条件が合意に至った証拠として作成される書類です。
一般的に「雇用契約書」は労働時間や賃金などが書かれた「労働条件通知書」という書類を兼ね備えて作成されています。記載された労働時間や賃金などの条件に納得がいく場合は、サイン(捺印)をして会社に提出すれば合意に至ります。
労働条件通知書とは
会社が労働条件通知書を作成する理由は、労働条件の通知が法律で義務付けられているからです。(労働基準法第15条)
一般的には「雇用契約書=労働条件通知書」と認識されているため、多くの会社では「雇用契約書 兼 労働条件通知書」として労働条件通知書が作成されています。
この記事では雇用契約書を「雇用契約書 兼 労働条件通知書」として解説します。
雇用契約書と就業規則の関係
会社には「就業規則」という会社のルールブックがあります。
就業規則には、労働時間や賃金など会社の決まりが書かれており、雇用契約書と同じ内容が記載されています。
もし、就業規則と雇用契約書で内容が異なる場合は、労働者に有利な方が優先され、不利な条件は適用されません。たとえば、就業規則で1日8時間労働と記載があっても、雇用契約書で7時間の契約をしていれば労働時間は7時間になります。
就業規則を詳しく知りたい人は、こちらの記事を読んでね!
雇用契約書で必ず確認すべき5つの条件
雇用契約書は、サイン(捺印)をして会社に提出した時点で条件に合意をしたことになります。提出後に「見ていませんでした」「知りませんでした」は通用しないので、提出前に必ず内容を確認しましょう。
とくに雇用契約書で必ず確認すべき条件は5つです。
- 契約期間
- 労働時間と休憩時間
- 賃金
- 休日
- 就業場所と業務の変更範囲
1.契約期間
契約期間は契約社員やパートなど、有期契約労働者の方に確認していただきたい項目です。
契約期間が決まっている場合には「更新の有無」が記載されています。「契約の更新はしない」と記載されていれば契約期間満了後に退職することになるので、必ず確認しておきましょう。
一方、更新がある場合は「更新の上限の有無」と「更新回数の上限や通算契約期間」が記載されています。
たとえば、更新の上限が「有」で通算契約期間が「3年」だとすると、最長で3年までしか働けないということです。
また、更新条件が書かれている場合もあるため、どんな条件を達成すれば更新になるのかをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
2.労働時間と休憩時間
労働時間と休憩時間は必ず確認しましょう。
配属先によって労働時間や働き方(シフト制など)が違う場合や、試用期間中のみ働き方が異なる可能性もあります。
休憩時間が「1時間となっているか」も重要なポイントです。なぜなら法律で労働時間が8時間以内は45分、8時間を超えると1時間の休憩を取らなければならないと決まっているからです。
もし休憩が45分で1日8時間を超えて労働している場合は違法となります。
用契約書に「休憩45分」と書かれていたら「残業がないということでしょうか?」と聞いてみてください。
3.賃金
賃金には、毎月支払われる給料の詳細が記載されています。
とくに「固定残業制」を採用している会社に入社する方は、必ず確認しておきましょう。
固定残業制は、雇用契約書に「何時間分の残業代なのか」を必ず記載しなければいけません。(厚生労働省の指針により)たとえば固定残業代が「20時間分」と書かれていたら、毎月20時間は残業をしても給料は変わらないということです。
また固定残業分の残業時間を超えた場合は「別途残業代が払われる」と書かれていることも確認しておきましょう。雇用契約書に明示がない場合は、必ず就業規則を確認してください。
雇用契約書に書かれていない場合は、就業規則の条件になるよ!
4.休日
休日を重視して入社する場合は重要なポイントです。
たとえば、祝日が記載されていない会社では、祝日に出勤する可能性があります。
「配属先による」「会社のカレンダーによる」と、あいまいな記載である場合は、休日日数を確認したうえで契約をすることをおすすめします。会社のカレンダーを見たら「思っていた休日日数と違う」といったトラブルも稀にあるので、十分注意して雇用契約を行いましょう。
- 何曜日が休みか
- 祝日が休みか
- 年末年始・夏季休暇はあるか
5.就業場所と業務の変更範囲
就業の場所の欄に「転勤の有無」が書かれているかを必ず確認しましょう。
求人票で「転勤なし」と書かれていても雇用契約書で「転勤の可能性あり」と書かれている可能性があるからです。
求人票は正式な雇用条件ではないため、求人票と雇用契約の条件が相違していても違法になりません。
「専門職だから転勤ない」と聞いて入社したにも関わらず「転勤あり」で雇用契約を結んだ場合は、転勤命令が出ても抵抗できないので注意しましょう。
雇用契約書に転勤について書かれていない場合は就業規則が優先されると思うけど、就業規則が変更されたらどうなるの?
就業規則の不利益な変更は労働者と会社で合意がなければできないけど、もし変更されたら転勤命令がでても拒否できない可能性があるよ。
労働条件について疑問があるある場合
労働契約は「契約」である以上、双方の合意がないと会社で働けません。
提示された労働条件に納得が行かない場合は、契約不成立として雇用されないことになります。
会社と交渉をして「納得のいく条件に変更してもらう」もしくは「会社に入社をしない」のどちらかを選択するしかありません。
もし雇用契約を締結した後に労働条件に違和感を感じても納得が行かない場合は、家庭の事情など相応な理由がない限り変更はできません。契約後に「労働条件がおかしい」と気付いたとしても基本的に「退職」しか選択肢はないので注意しましょう。
雇用契約後に条件が違ってすぐに退職した場合は、なにかペナルティがあるの?
ペナルティは特にないよ。むしろ条件が全然違って退職した場合は失業保険で会社都合扱いになる可能性があるね!詳しくはこの記事を読んでみて!
雇用契約書がない場合
労働条件の通知は、以下のように法律で義務付けられています。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
つまり、労働条件の通知をしない会社は労働基準法違反になります。
ただ、なかには雇用契約書をもらえていない方もいるはずです。その理由を詳しく紹介します。
会社の人が知らない
小さな会社や新人の担当者がいる会社では、雇用契約書の存在を知らないといったケースがあります。
この場合は、担当者に教えてあげれば雇用契約書を作成してくれる可能性があります。
「まだもらってないな」と思ったら、まずは担当者に連絡してみましょう。
作成するのが面倒で必要性を感じていない
雇用契約書の作成が必要なことを知っていても、作成する必要性を感じてない会社があります。
その多くが「今まで指摘されたことがない」という理由です。
この場合は「労働者から何を言っても無駄」だと思ってください。労働基準監督署に相談して改善してもらう方がよいでしょう。
労働条件がメールやLINEで通知されることもある
2019年4月から労働者が希望すれば労働条件の通知は書面でなくても認められるようになりました。
会社から労働条件をメールやLINEで通知してよいかと尋ねられた場合は、電子か書面のどちらにするかを選択しましょう。
なお、メールなどで通知された場合は、通知内容が埋もれないようメッセージをダウンロードもしくは紙に印刷して保存しましょう。
通知方法はメールやLINE、チャットツールなどがあります。詳しくは厚生労働省のリーフレットをご覧ください。
まとめ:雇用契約書はお金と労働条件の合意書
雇用契約書は「労働を提供する代わりにお金をもらう契約」をした証拠書類です。
契約したあとで「聞いていない」と言い訳しても抵抗はできません。
会社に入社する際は、雇用契約書の条件をしっかり確認してからサイン(捺印)をしましょう。
- 雇用契約は労働条件に合意した証明書
- 必ず内容を確認してからサインをすること
- 雇用契約書がない会社は違法になる
これからも「日本人がお金に強くなることが日本を強くする」と信じて、ブログやYouTube・Voicy、学校の授業をがんばります。
それでは今日も素敵な一日を。
最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ!
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