最近、固定で残業代が支払われる会社が増えてるけど、怪しいから求人に応募したくないんだよね。
固定残業は社員にもメリットのある制度だから大丈夫だよ!
でも、固定残業時間が45時間の会社はさすがにヤバいでしょ!
うーん、そうとも言い切れないかな。詳しく解説するね!
固定残業制度は、毎月一定時間分の残業代が支払われる制度です。
固定残業制度が導入されている会社は「いつまでも残業させられる」というイメージがあるため、求人応募をためらってしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、固定残業制度はいつまでも残業させられる制度ではありません。固定残業の仕組みを正しく理解して、不安を取り除きましょう。
- 固定残業が45時間の会社はブラック企業なのか
- 固定残業のメリット・デメリット
- 固定残業代の注意点
なぜ固定残業制度を採用する会社がいるのかを知っておこう!
固定残業代とは
固定残業代とは、基本給とは別に毎月一定額を給与に上乗せして支払われる残業代です。通常の残業代は、残業時間に応じて支払われますが、固定残業代は決められた時間分が固定で支払われます。
たとえば、固定残業代が30時間分と定められていた場合は、残業が月1時間でも30時間分の残業代が支払われます。
通常の残業代との違いは、下図のとおりです。
固定残業って、残業時間に関係なく残業代が支払われる制度だよね?
それは大きな間違い!会社は固定残業時間を超えた残業時間分を別途支払う義務があるよ!
なぜ会社は固定残業代を導入するのか
会社が固定残業代を導入する目的は人件費の削減です。具体的には、固定残業代を導入することによって通常よりも基本給が下がるため、残業代の単価も下がります。
たとえば、基本給20万円で固定残業代4万円の場合、残業の単価は20万円を時給換算した金額が残業代の基礎賃金となります。
下図は、1ヶ月の所定労働時間が176時間の場合で、基本給24万円の人と残業単価を比較した結果です。
毎月支給される給与は同額ですが、固定残業の方が残業単価が低くなるため、残業が多い会社は人件費を抑えることができます。
求人票を見たときに「月給が高い」と思っても、基本給が低い場合があるので、固定残業代が導入されている求人票を見るときは基本給を必ず確認しましょう。
ただし固定残業は、「残業を減らして固定残業代をもらいたい」と思って社員が働くため、残業を抑制する目的で導入している場合もあります。
固定残業代が45時間の会社はやばいのか
法律上、残業時間の限度時間は原則月45時間ですが、会社によっては固定残業を45時間に設定している場合があります。
法律上は固定残業時間が45時間でも問題ありませんが、毎月45時間に近い残業をしている可能性が高いため、注意が必要です。
もし固定残業が45時間の会社に入社した場合は、不正に労働時間を変えられないよう、自身で勤怠の記録を取っておくことをおすすめします。
なかには、繁忙期でも月45時間を超えないにもかかわらず、残業代の計算を省く目的で固定残業を45時間に設定している会社もあります。
ブラック企業の見分け方は、以下の記事で詳しく解説しているよ!
固定残業制度を導入している会社で働くメリット・デメリット
固定残業制度を導入している会社で働くと、デメリットが多い印象がありますが、メリットもあります。
ここでは、固定残業制度を導入している会社で働くメリット・デメリットを解説します。
メリット
通常の残業制度では、仕事ができなくて残業している人や、より多くの残業代を受け取るために残業をしている人の方が給与を多くもらえるため、不公平に感じる方も多いでしょう。
しかし、固定残業制度を導入している会社では、一定時間残業した人とまったく残業していない人で残業代の差はありません。
そのため、仕事を早く終わらせた人の方が労働時間に対して給与が多く支払われることになります。
会社側からすれば、残業代を稼ぐためにダラダラ仕事をする人を減らすことができるため、社内の生産性を向上させる狙いもあります。
残業代が上乗せされている分、毎月確実にまとまったお金が入るのもメリットだよね!
デメリット
固定残業があるために「固定残業時間分を働かなければならない」という固定概念が出てしまい、逆に残業してしまうケースもあります。
また、固定残業時間を超えた時間はサービス残業にすることが慣習になっている会社もあるため注意が必要です。
固定残業は残業を義務付けたり、残業時間を規制する制度ではないことを覚えておきましょう。
固定残業制度で知っておくべきこと
固定残業制度は、会社と社員のトラブルが多いことから、法規制が進んでいます。しかし、制度を知っておかなければ、会社が正しく給与を支払っているかの確認ができません。
自分の身を守るためにも固定残業制度について知っておきましょう。
基本給と固定残業代の内訳の明示が義務付けられている
法律では、求人票に基本給と固定残業代の金額を分けて書くことが義務付けられています。
具体的な表示部分は以下のとおりです。
「基本給30万円(固定残業代含む)」など、基本給のうちいくらが固定残業代なのか明示していない会社は違法となります。
また、固定残業代の労働時間数や、固定残業時間を超える場合に追加で割増賃金を支払う旨の記載も義務付けられています。
法律で義務化されている記載事項がない求人票を出している会社は注意しましょう。
休日労働や深夜労働が含まれている場合がある
会社によっては、固定残業代に休日労働や深夜労働分の割増賃金が含まれている場合があります。制度自体は違法ではありませんが、固定残業時間分を超えたときに適切な残業代が支払われているかを給与明細で確認しましょう。
なお、休日労働や深夜労働分は固定残業代とは別に支払われるのが一般的です。固定残業代に休日労働や深夜労働分を含める場合も求人票に記載が義務付けられているため、求人応募の際は必ず確認しましょう。
名称が固定残業代ではない
会社によっては「業務手当」など、一見すると固定残業代には見えない名称で固定残業代として支払っている場合もあります。
就業規則や雇用契約書に「業務手当で20時間分の残業を支払う」などの表記がある場合は、名称がわかりづらいので注意しましょう。
会社側も固定残業代として支払っていることを忘れて、固定残業時間を超えた分の割増賃金が支払われてない可能性も考えられます。
どのような理由で各種手当が支払われているのかを就業規則で確認しておきましょう。
会社が固定残業代を支払っていることを忘れるなんて、ありえるの?
会社の担当者が業務引き継ぎを繰り返しているうちに勘違いして運用している場合もあるんだ。
固定残業代が違法となるケース
固定残業代は、会社が誤解して運用しているケースが多く、以下のようなケースは違法となります。
- 固定残業時間が超えた分が支払われていない
- 基本給が最低賃金を下回っている
固定残業時間が超えた分が支払われていない
会社は、固定残業時間を超えた時間分を別途支払う義務がありますが、「固定残業だから残業代は支払わなくてよい」と認識している会社もあります。
固定残業代を超えた分が支払われていない場合は、未払賃金が発生しているため、3年分遡って請求が可能です。会社の人事や総務など給与計算をしている部署に確認してみましょう。
また、会社が対応してくれないときは、労働基準監督署に相談する方法もあります。
基本給が最低賃金を下回っている
固定残業代を導入している会社では、「固定残業代と合わせて月給〇〇万円」として給与を決定している場合がほとんどです。
しかし、固定残業代はあくまで残業代であるため、基本給が最低賃金を下回っていると違法になります。
たとえば、基本給18万円、固定残業代3万円、月の所定労働時間168時間の場合「18万円÷168=1,084円」で東京都の最低賃金を下回ります。
会社側も最低賃金を意識せずに給与を決定している場合があるため、自身でも計算できるようにしておきましょう。
最低賃金については、以下の記事で詳しく解説しているよ!
違法性がある会社は転職しよう
固定残業制度は、未払賃金やサービス残業が発生しやすい制度です。
社内で違法性を訴えても「前からやっていた」「労働基準監督署に指摘されたことがない」などと言われ、改善してくれない会社もあるでしょう。
低賃金でサービス残業が多い会社は疲弊してしまうだけです。会社に違法性を訴えても改善されなければ転職することをおすすめします。
転職の流れと、おすすめの転職サイトは、以下の記事で詳しく解説してるよ!
まとめ:固定残業代を理解して正しい給与であるかをチェックしよう
固定残業代は、残業をしなくても毎月固定で残業代が支払われるため、残業した人が給与を多くもらえるという不公平感が払拭される制度です。
しかし、固定残業代が45時間の会社では、長時間労働が常態化している可能性があります。固定残業制度を誤って運用をしている会社もあるため、仕組みを理解して正しい給与であるかチェックすることが大切です。
- 固定残業代があれば残業時間による給与格差がなくなる
- 誤った認識で運用している会社が多い
- 正しく運用されているかの確認は必須
これからも「日本人がお金に強くなることが日本を強くする」と信じて、ブログやYouTube・Voicy、学校の授業をがんばります。
それでは今日も素敵な一日を。
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