親の介護にお金が必要なんだよね…どうしよう…
そんなときは介護保険を使うといいよ!
え、そんな保険があるの!
介護する人が使える制度もあわせて紹介するね!
介護保険と聞いても、実際に介護したりされたりする立場にならないと、何をすれば良いかわからないですよね。
介護保険は、1〜3割の自己負担で介護サービスが受けられるだけでなく、休業や給付金も受け取れる公的制度です。
要介護者以外の家族などの介護者が受けられる制度もあるので、仕事と介護の両立に不安がある人は、ぜひご覧ください。
- 介護保険の仕組み・制度内容
- 介護保険で受けられるサービス
- 会社員が受けられる5つの介護制度
介護保険とは?
介護保険は、介護が必要な人に給付金・サービスを提供する公的保険です。介護が必要な高齢者の生活支援や家族の介護負担を軽減する目的で設けられた保険で、高齢化社会が進む日本では必要不可欠な制度となっています。
介護保険の主な特徴は、以下のとおりです。
- 自己負担額は原則1割
- 40歳から介護保険に加入する
介護サービスを利用する際にかかる自己負担額は原則1割です。ただし本人の合計所得に応じて2割や3割になる場合もあります。また、40歳以上になると介護保険の加入義務が発生するため、加入後は保険料を生涯払い続けることになります。
え、生涯払わなきゃいけないの?
そうだよ。払えなくなったら自治体に相談しようね!
介護保険の仕組み
まずは、介護保険の仕組みを確認しましょう。
- 介護を受ける人が介護状態を市区町村に申請する
- 市区町村は申請情報を元に介護状態の認定をする
- 認定された介護状態に合わせて介護サービス事業者がサービスを提供
- 介護受ける人は1~3割の費用を負担する
- 市区町村が7~9割を介護サービス事業者に支払う
つまり、市区町村が徴収した保険料を介護サービス事業者に支払うことで介護を受ける人の自己負担が原則1割になる仕組みです。
しかし、65歳以上で介護を受ける人は以下のとおり、前年所得に応じて自己負担額が2~3割になるケースもあります。
40~65歳未満の人で介護サービスを利用する人は所得にかかわらず1割負担です。
介護保険を利用できる条件
介護保険のサービスを受けるには以下の条件が必要です。
- 65歳以上で介護認定を受けた人
- 40歳~64歳で特別な病気を持っている人で介護認定を受けた人
介護認定とは、市区町村から介護が必要と認定を受けることです。介護保険証は介護認定された40〜64歳の人のみ交付され、65歳以上の人には全員に交付されます。
また、65歳以上の人は介護認定されればサービスが受けられますが、40~64歳の方は癌やパーキンソン病などの国が認定した特定の病気でなければ介護保険は利用できません。
特定の病気は厚生労働省のHPに詳しく掲載されてるよ!
40歳未満の人は介護保険に未加入なので、介護状態であっても介護サービスを受けられません。40歳未満の介護が必要な人は障害認定を受け、障害サービスを受けることになります。
年齢によって受けられる内容が違うんだね!
介護保険で受けられるサービス
介護保険で受けられるサービスは大きく分けて2つあります。
- 居宅サービス
- 施設サービス
それぞれの内容を詳しく解説するね!
居宅サービス
居宅サービスは、大きく訪問サービスとデイサービスに分けられます。
訪問サービスは、ヘルパーさんが自宅に訪問して買い物や掃除、リハビリ、入浴などの介助を行ってくれるサービスです。一方、デイサービスは、自宅から施設に通って、食事や入浴などの介助を受けるサービスのことをいいます。
つまり、基本的な生活は家で過ごして、介護を受けるときだけサービスを利用するのが居宅サービスです。
デイサービスも居宅サービスなんだね!
施設サービス
施設サービスは、老人ホームに入居した方が受けられるサービスです。
受けられるサービスは施設ごとに異なり、食事や排泄・入浴入浴などの介護が提供されるところもあれば、医療的なケアやリハビリを中心に行うところもあります。
介護状態によってサービスが違うから、詳しくは厚生労働省HPを見てね!
介護保険料の計算方法
介護保険の保険料の計算方法は、65歳以上の「第1号被保険者」と40〜64歳の「第2号被保険者」で計算が異なります。また、加入している医療保険が社会保険か国民健康保険かでも保険料の計算が異なるため、それぞれの計算方法を解説します。
第1号被保険者(65歳以上)の計算方法
第1号被保険者の介護保険料は、市区町村によって違いはありますが、基本的に所得に応じて9段階以上で設定されています。
たとえば、東京都世田谷区の場合は第1段階から第17段階まで設けられており、第6段階を基準額として保険料が決められています。世田谷区の第6段階は、本人が住民税の非課税範囲内であり、同一世帯に住民税課税者の方がいるケースです。この場合、介護保険料は年額で74,160円(月6,180円)となります。
第2号被保険者で社会保険(健康保険)に加入している場合
会社員や公務員などが加入する社会保険(健康保険)に加入している、第2号被保険者(40~64歳の人)は、給与や賞与に介護保険料率をかけて介護保険料が天引きされます。
具体的な計算方法は以下のとおりです。
- 給与の介護保険料= 標準報酬月額 × 介護保険料率
- 賞与の介護保険料= 標準賞与額 × 介護保険料率
標準報酬月額とは、社会保険料計算の基準となる給与額のことで、5万8千円から139万円まで50等級に区分されています。一方、標準賞与額は、賞与(ボーナス)の金額から1,000円未満の額を切り捨てた金額です。
また、社会保険に加入している人の介護保険料は、算出した保険料を会社と本人で折半します。たとえば、標準報酬月額が30万円、介護保険料率が1.5%だった場合は以下のように計算されます。
- 30万円×1.5%=4,500円
保険料は会社と折半するため、給与から毎月2,250円の介護保険料が天引きされます。
第2号被保険者(40~64歳の人)で国民健康保険に加入している場合
国民健康保険に加入している第2号被保険者の介護保険料は、市区町村ごとに算出されます。
所得割・資産割・均等割・平等割のいずれかを市区町村ごとに組み合わせて介護保険料を計算します。
所得割:世帯ごとに被保険者の前年の所得に応じた金額
資産割:所有する土地や家屋の固定資産税に応じた金額
均等割:被保険者一人の金額
平等割:一世帯ごとの金額
また、介護保険料率も各市区町村で異なりますので、計算方法についてはお住いの市区町村に確認しましょう。
介護保険料の徴収方法
次の条件に当てはまり、日本に住んでいる人は介護保険料が徴収されます。
- 40~64歳の正社員・公務員
- 40~64歳の自営業・フリーランス・無職
- 65歳以上
40~64歳の会社員・公務員
会社員・公務員の場合、給与天引きで介護保険料が徴収されます。
40歳になると給与明細書に「介護保険料」という項目で保険料が天引きされるので確認してみてください。多くの会社は翌月の給料で前月分の保険料を徴収しているので、誕生月の翌月の給料から徴収が開始されます。
40~64歳の自営業・フリーランス・無職
自営業・フリーランス・無職など会社に勤めていない方は給与天引きができません。そのため、国民健康保険に合算されて介護保険料が徴収されます。
40歳になったときは「介護保険に加入したから保険料が上がった」と考えましょう。
急に保険料が高くけど、ビックリしないでくださいね!
65歳以上
65歳以上の方は原則、年金から介護保険料が天引きされます。ただし、年金から天引きされるまでには半年〜1年程度の準備期間がかかります。天引きが開始されるまでは、納付書や口座振替による納付となります。
なお、保険料は住んでいる市区町村やご自身の所得によって異なり、会社員のときと同じ金額にはなりません。
え、年金から払うの?
そうだよ。40歳以上の全員で負担する制度なんだよ。
介護サービス利用までの流れ
実際に介護サービスを利用するためには以下の流れで手続きが必要です。
- 市区町村で要介護認定の申請
- 認定調査
- 要介護認定の結果通知
- ケアプランの作成
- 介護サービスの利用開始
順を追って解説します。
1.市区町村で要介護認定の申請
障がいなどにより日常生活に支障がある場合は、市区町村の介護保険の窓口に相談し、要介護認定の申請を行います。申請時に個人情報や現在の状態などを記入した書類の提出が必要です。
2・認定調査
市区町村の調査員が自宅や施設を訪問して、状態を確認するための認定調査を行います。
また、認定調査とは別に主治医に意見書を作成してもらわなければなりません。主治医意見書の作成は市区町村から主治医に依頼されます。
主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要です。
3.要介護認定の結果通知
市区町村が調査結果に基づき、介護の必要性や適切な介護サービスを審査し、要介護認定の結果が郵送で通知されます。
4.ケアプランの作成
要介護認定の結果次第で、介護サービス計画(ケアプラン)の作成が必要になります。ケアマネージャーと相談しながら、利用したいサービス内容を決定します。
5.介護サービスの利用開始
ケアプランに基づき、訪問介護やデイサービス、入所施設など利用したい介護サービスを選び、介護サービスを開始します。
ここまでが介護サービスを利用するまでの流れです。介護サービスは、すぐには利用できないため、介護が必要になった場合は早めに手続きを進めることが大切です。
わからないことがあれば、自治体の窓口に相談してみましょう。
家族を介護する人が受けられる制度
会社員が家族の介護をする場合、介護・仕事・家計などの負担が大きくなります。国は、そのような人が介護に専念しやすいように介護制度を準備しています。
会社員であれば必ず使える制度なので、介護と仕事の両立する際は次の制度を利用しましょう。
- 介護休暇
- 介護休業
- 介護休業給付金
- 時間外労働・深夜労働の制限
- 時短勤務
この制度は法律で決められているから特別な事情がない限り会社は拒否できないよ!
介護休暇
介護休暇は、介護状態にある家族1人につき最大年5日、対象家族が2人以上の場合は最大年10日まで有給休暇とは別に取得できる休暇です。
ただし、会社によっては介護休暇を取っても給料がもらえず、給料が減ってしまう可能性があります。会社の規定で介護休暇が有給なのか無給なのかを事前に確認しておきましょう。
介護休業
介護休業は、介護が必要な家族を労働者が介護するために使える休業です。下図のように対象家族1人につき3回まで通算93日まで休業できます。
介護休業の取得には、会社の人事や総務に事情を説明し、社内で申請をしなければいけません。また、介護休業中は会社から給料がもらえませんが、介護休業給付金が支給されます。
給付金がもらえるなら安心だね!
介護休業給付金
介護休業給付金は、介護休業中に会社から給料が支給されない人に対して給料の67%の給付が受けられる制度です。
会社が給付金申請をすることになりますが、介護者のマイナンバーや証明証などが必要になる場合があるので、会社の指示に従って書類をそろえましょう。
休業申請時に給付金について確認しておこうね!
時間外労働・深夜労働の制限
時間外労働・深夜労働は介護をする人にとっては大きな負担です。介護と仕事の両立を理由に会社へ申請すれば時間外労働・深夜労働をしなくてすむようになります。
自身の体を壊さないためには無理は禁物だよ!
時短勤務
介護を理由に会社へ時短勤務を申請することで、定時より早く帰ることができるようになります。
ただし、時短した分を給料から引かれたり、ボーナスの金額にも影響したりするので、理解したうえで時短勤務を申請しましょう。
まとめ:介護に困ったら介護保険を活用しよう
現在の日本では、介護を必要とする人が増え続けています。なかには、介護をするために仕事を辞めなければならない状況になる人も少なくありません。
そのようなときに介護保険を活用すれば、仕事を辞めずに介護に専念できるかもしれません。
これから介護をする予定がある人は、どのような給付金や休業制度があるのかを確認しておきましょう。
- 介護保険の利用には条件がある
- 介護保険料の徴収は40歳から
- 会社員に特化した介護制度がある
これからも「日本人がお金に強くなることが日本を強くする」と信じて、ブログやYouTube・Voicy、学校の授業をがんばります。
それでは今日も素敵な一日を。
最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ!
誰でもお金について学べるギャグ漫画を作りました
貯金、年金、保険、節税、投資、2,000万円問題…etc.を1冊の漫画で解決!
こどもから大人まで、幅広い層に愛されているお金の本です。お金について学んでほしい”家族や友人へのプレゼント”にも最適!
まずはザックリと、ギャグ漫画でお金の基礎を学ぶのがおすすめです!